ハリー・ポッターのスピンオフ。舞台はニューヨーク、時代は1920年代。主人公はあの「幻の動物とその生息地」という素晴らしい教科書を与えてくれたニュート・スキャマンダー。当然スポットが当たるのは魔法生物。
これだけで面白そうな成分が凝縮されてる。でも実際観てみたら予想の100倍は面白かった。
まず背景についてだが、原作の舞台である2000年代イギリスとはまた違ったアメリカ魔法社会の価値観や、常識、法律。時代によるギャップ。こういった背景はホグワーツの学生であるハリー達の目線からでは分かり得なかった情報で、それが原作にも深みを与えてくれた。
また、原作では触れられているものの映画ではあまり深追いしなかった、ダンブルドアの書記の中のキャラクターがストーリーにリンクしているのも、原作ファンとしてわくわくした。
何より、ニュートの目線から描かれる物語は、ハリー達とは異なり大人の社会のなかに生きている目線で、そこでの自由や不自由、生きやすさと生きづらさは、ハリーの目線では味わえない新しいハリー・ポッターの世界だった。勧善懲悪だったハリーの物語と違い、「魔法生物を愛している」という絶対の価値観をもって進むニュートの物語は、悪を倒すことを目的としておらず、魔法生物を守る事を何よりとしているのも興味深い。だからこそ、ああいう終わりだったんじゃないかなぁ。
全体を通して、慈愛と大人のほろ苦さを含んだとても素敵な物語でした。続編もとても楽しみです。