いしはらしんすけ

名探偵コナン 業火の向日葵のいしはらしんすけのレビュー・感想・評価

3.7
劇場版第19作。

1作おいての櫻井武晴脚本による怪盗キッドもの。

参加3作目ともなると櫻井氏もコナン文法とでも言うべきものを体得した感じで、「絶海の探偵」のようなハードなリアリズムはある程度譲歩。いきなりのスペクタクル展開で、それなりのド派手荒唐無稽ムードを醸成してきます。

ただやっぱり諸々「手続き」が明らかにちゃんとしていて、例えばアメリカ人セキュリティが日本で銃を入手する描写とかやたらとぶっ放さないとか、このへんなんなら前作「異次元の狙撃手」をメタ的に批評してない?みたいな。

そう考えると序盤の飛行機不時着のくだりは「銀翼の奇術師」、イベント運営にまつわる警察とのやり取りは「戦慄の楽譜」など、過去作で超ご都合主義だった部分をきっちりリアリズムに即してやり直してる感があって、なかなか興味深い。

ほろりとさせる人情要素も上手い、櫻井コナンの一つの到達点とも言える佳作かな、と。