このレビューはネタバレを含みます
──愛ゆえか。
冒頭から秘密が明かされる。ジュード・ロウとマッツ・ミケルセン。いやはや、良いペア過ぎないか。
好きな描写がいくつか。麒麟の涙の流れ方。あのわくわくさせる風船のドラゴンは誰がデザインしたんだろう? ホグワーツの堂々たる登場の仕方。さらりと出てくる永遠の相棒、ミネルバ・マクゴナガル。
ダンブルドアとの決闘に至る前の、民主主義を利用して魔法界を支配しようと目論んでいた頃のグリンデルバルド。1945年が決戦なら、これは30年代の出来事で、マグルの歴史とも重なってくる。民主主義でも、神聖な麒麟による選択でも、闇の帝王は生まれ得る。グリンデルバルドの勝利宣言が美しく映るのは実際にこうした君主の誕生が人々の目に美しく見えてしまうものだから、なんだろう。
展開は「誰も全貌を知らない」という言葉通りで、アトラクションみたいな楽しさ、それぞれに用意された見せ場、十分なファンサービス。
ラストシーンは展開の速さを考えれば長いようだけれど、この作品のテーマはここに。幸せな婚礼の式を挙げる一組の「男女」。それを外から見つめているダンブルドア。彼の愛は、若さという狂気と、償いきれない罪の意識に強く結びついている。こんな愛の体験があるから、ハリーを守った魔法の正体をあんなにもはっきり見抜いていたんじゃないか。
最後にひとつ疑問が。
あの時代、魔法界では二人の愛は許されたのだろうか?