ソラアユム

ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密のソラアユムのレビュー・感想・評価

3.6
『計画通りにいかない、が計画通りだ』


2022年62本目(劇場鑑賞13本目)
ファンタスティックビーストシリーズ3作目

【総評】
 キャラクターは良いが、魔法生物の可愛さだけではごまかしがきかないレベルで脚本が壊滅的な気がする。前作よりは悪くないが、後2作が思いやられる一作

【良】
 ダンブルドア役のジュード・ロウや、グリンエンバルド役のマッツ・ミケルセンを筆頭にキャスト陣はそれぞれのキャラクターを好演していたように思う。個人的には悪人面が前面に出過ぎているジョニー・デップよりもマッツ版のグリンデンバルドの方が好み。魔法使い同士のバトルもシリーズの中でもかなり良かった。

【悪】
 結末から逆説的に見ると、グリンデンバルドの行動も、ダンブルドアの行動も違和感多数。根本的な問題は、グリンデンバルドが麒麟の力を駆使して未来を予知するという設定の部分。どの程度未来を予知するのか少なくとも劇中では曖昧な上に、未来予知の能力を効果的に活かしてダンブルドア陣営を苦しめる展開がないのはどうなのだろう。この能力を駆使して、あの結末をグリンデンバルドは予知できたのでは?一方で、ダンブルドアも未来予知に対抗する作戦が的外れ過ぎて、グリンデンバルドを出し抜けている感じはしない。つまり、最終決戦でのカタルシスは皆無に等しい。
 主人公のニュートも作中での活躍はほとんどなく、何とか埋め合わせをしようと、兄を助けによく分からない監獄に足を踏み入れてしまうという脚本の迷走っぷりが酷い。
 細かい部分も多分に気になる。特にジェイコブが魔法界で暗殺者に仕立て上げられているのに、当の本人は変装する気も、弁えた行動もしないし、回りの魔法使いは彼を目撃しても基本ノータッチ。グリンデンバルドに与していたクイニーがエンディングでは何の贖罪もせず赦されているし、魔法界の法はどうなっているのか笑 グリンデンバルドの魔法が消えて、ある事実が明らかになる展開は失笑物だ。ダンブルドア陣営があの場所に来なくても、勝手に事件は解決しそうだが…

【まとめ】
 正直、この規模の作品でここまで気になる脚本は久しぶりだ。脚本が破綻し過ぎていて、ストーリーが難解になってしまっている様に感じるレベル。ダンブルドアの秘密も明らかになったことなので、後2作で何を語るのかは気になる。


以上