実際に起きた集団強姦事件を元にした辛すぎる韓国映画。
まるでドキュメンタリーのようにハン・ゴンジュの人生を追うのだが、主演チョン・ウヒの圧倒的な芝居の上手さと、ゆっくりと過去の事件が描かれていく様子に終始感情移入してしまう。
私は何も悪い事をしていないと弁解するものの、転校させられてしまった17歳のハン・ゴンジュ。
行く宛の無い彼女だが、元担任の教師の計らいで、家に住ませて貰う事にはなった。
しかし教師の母からはいい目で見られないし、傷を負った彼女は、全く笑わず、感情を表に出さない。
新しい学校に通い、水泳部に入り、明るい性格のウニに話しかけられるが、ハン・ゴンジュの様子は変わらない。
そんな彼女だったが、教師の母親の手伝いや、ウニとの会話によって次第に明るさを戻すのだが…
非常に暗くて、救いの無い話のようにも見えるが、あの衝撃的なラストの解釈によっては、そうはならないとも受け取れた。
過去の強姦によって、病気を患い、医者に止められていたにも関わらず、頑なに水泳部で泳ぐ事に拘った彼女の真意が、本作の最も大事なポイント。
イメージ含め、ハン・ゴンジュを演じるチョン・ウヒのアップが多い本作だが、この演出があるからこそ、「ハン・ゴンジュ」というひとりの人間を真正面から受け止め、社会のあり方を省みるべきと言う強いメッセージを感じたように思う。