きえ

ヘイル、シーザー!のきえのレビュー・感想・評価

ヘイル、シーザー!(2016年製作の映画)
3.7
1950年代のハリウッド映画界を舞台に、コーエン兄弟の映画愛が詰まったオマージュ一杯のエンターテイメント型コメディ。映画の中に映画ありミュージカルありの贅沢な作り。

コーエン兄弟と言えば、シリアスで残虐なのにテンポのいい脚本って事で真っ先に浮かぶのは『ファーゴ』と『ノーカントリー』だけど、今回はベタなとこもあるコメディ。

正直コーエン兄弟のコメディは面白いと感じるかうーんと感じるか、人によって分かれるのかも。

今回の主役はあらゆるトラブルとスキャンダルに対処するプロデューサー。演じるのはコーエンファミリー?のジョシュ・ブローリン。

いつもアウトローでマッチョなイメージだけど、今回は終始クラシカルなスーツ姿で髭もなし。最初ジョシュだと気付かなかったくらい^^; 今までの中で一番カッコいいとか思ってしまった(笑)

一方、世界を虜にするいい男代表のジョージ・クルーニーは、人気はあるけど大根役者と言う役柄で、終始シーサー役の衣装のままで間抜け度半端ない。
それを演じてしまうとこに彼の懐の深さを感じる。

この作品は50年代のアメリカの世情や当時のハリウッド映画について知っていないと充分に楽しめないかもしれない。

私は予習不足で、映画を観終わってからネットで調べて、シーンを思い出しながら後付けで納得したという始末。

特に『赤狩り』に纏わるシーンなどは予習しておくべきだったと思う。
コーエン兄弟は自分達の境遇からか脚本家にスポットを当てる作品がちらほら。
そんな意味でも誘拐に纏わる一連のシーンは興味深かった。

予習予習言い過ぎると誤解されそうだけど、予習なくても楽しめない訳では全くなくて、そこがコーエン兄弟なのだと思う。

映画の中でもう一つの映画が進行し、水中パフォーマンスを交えたミュージカルあり〜の、軽快なタップパフォーマンスあり〜の、それだけでもかなり楽しめる。
力抜いてない!

更に映画へのオマージュ。
全てを分かるのは私の映画知識では無理だったけど、映画愛に溢れていた。

一箇所気になったのは、岩と岩の間に波が打ち返すシーンは、東映へのオマージュ?と思ったのは私だけ?(笑)

公式サイトなどの刷り込みで、個性溢れるキャスト陣が絡み合って誘拐事件解決かと思ったら、、そこは裏切られた^^;

ストンと落ちる物語かと言えば、コーエン兄弟特有の難解な部分もあり、若干のモヤモヤさはあったけど、ある種メッセージ性も含みながら、ラスト『これを見よ』でコーエン兄弟の名前バーンからのエンドロール!

理解しました。
この映画の主役はやはりコーエン兄弟だったと言う事を…
きえ

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