きえ

未来のミライのきえのレビュー・感想・評価

未来のミライ(2018年製作の映画)
3.2
先日発表されたアカデミー賞長編アニメーションのノミネート、そして2/3に発表されたアニメ界のアカデミー賞と呼ばれるアニー賞で長編インディペンデント作品賞を受賞との知らせ、どちらも内心驚きを隠せない私です。

この作品Filmarksでの得点がとても低いですが私自身も加担者で正直乗れなかったです。

乗れなかった理由は色々あるけど、多くの方が触れてる様にまずは声の部分が大きい。最近は人気俳優や女優の吹き替えは当たり前で『君の名は。』や『この世界の片隅に』など成功してるケースもあるけど今作に関しては微妙だった。特にくんちゃんの声はやはり無理があったし、パパママに関してはあまり感情を感じられなかった(辛口ですみません)。プロの声優でやって欲しかったと言うのが凄くある。海外で評価されてるとすれば声の問題が字幕や吹替で回避出来てる点があるかなと個人的に…

そしてもう一つ乗れなかったのが親の子に対するアプローチの弱さ。今を映した共働き子育てのリアルを背景に妹の誕生で劇的な心情変化(赤ちゃん返り)の真っ只中にいる4才児が家族の過去と未来を繋いだファンタジーの中で成長していく発想自体はいいのだけど、子育てが親と子の相互作用だとすると、この作品は家族物語の体をなしながら4才児だけの成長物語になってたところがとてもモヤった。

赤ちゃん返りに対するパパママのアプローチが今ひとつ寄り添えてなくて単に駄々っ子に手を焼いてる風な映り込みに見えたのは残念。何故くんちゃんがそんな態度を取るのか、その本質に触れずにミライちゃんとの兄妹解決に切り替わって行った事で親子の関係が再構築されずに変わらないパパママで終わったのはやっぱり乗れない。

これが欧米ではウケたとすれば、早くから子供は自分の部屋で寝るとか夫婦のデートにはシッターを頼むとか、夫婦主体の家族像を確立してきた事が要因にあるのかもしれない。子供主体の日本の家族像が擦り込まれた私には4才児が赤ちゃん返りを自分で乗り越えてくファンタジーに感動する事は出来なかった。単に意固地なのかもしれません…
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