これホント、堪らん。
岡田くん演じる堂上と榮倉奈々演じる笠原、堪らん。
榮倉奈々演じる笠原の、か細くて図太い、繊細で大雑把な、真剣でふざけて、内気に燃えてて、弱気で強いこのキャラクター、堪らん。
当時、原作も読み漁ってキュンキュンしまくってたけど、映像でもちゃんとキュンキュンさせてくれるのは素晴らしい。
原作読んでから映画化されたものを観るとどうしても物足りなさとか、尺の関係での話の編集によって原作と何か違う感になりがちになるところをこの作品はほとんどそれを感じさせず、むしろ、多少違ったとしても、映画は映画、映像としての良さと言うか、キャストと映像とアクションという“読み物にはないもの”で新たなモノを与えている。
岡田くんはもはや日本が誇るアクション俳優として出来上がってるし、榮倉奈々がこの笠原イメージをホントに堪らん感じに具現化してるし、田中圭、福士蒼汰、栗山千明もなかなか小憎い原作キャラを彷彿とさせながら芯の強い仲間としてとても心強い。
この図書隊の結束力と言うか思想というか、自由を守るための献身性含めて、こんなチームがあるなら入りたくなる理想の組織を作っていて何かとてもうらやましい。
個人的にはこの田中圭演じる小牧ポジションで図書隊に入りたい。彼は彼で色々あるキャラで飄々としてる割に影があるキャラ。そりゃモテる。
というエンタメ性の強い世界観に包まれた作品であるが、意外と深いテーマ。
「メディア良化法」、メディアや世間に溢れる言論、思想に危険性を見出し、政府はその弾圧さながらに出版物の検閲という名の書籍の処分行為を始める。その弾圧検閲組織、良化隊。
それに屈っせず思想言論の自由を守るために地方行政が書籍や図書館を守る組織として設立した図書隊。
この言論の自由を統制するvs守る、の2つの隊の衝突が本シリーズの本筋。
ただ、すでに弾圧検閲が始まった世間では、情報統制が敷かれ、それまでに溢れかえってた様々な有象無象の情報がなくなり「良い子ちゃん情報」に侵され、人がすでに本当の自由な言論、思想を見失い、既に選ばれたモノを見せられてる世の中となり、そんな険しい意義のある戦いにすら無関心になりつつある、と。
そんな中で、図書隊は血を流して何を守ってるんですか?守り続けることに意味はあるんですか?良いことあるんですか?もはや国民にそれが必要とされてるんですか?別に無くなっても誰も気にしないんじゃないんですか?と。
そんな投げかけの中、必死に自分と仲間と自由な思想を信じて本を守り戦う図書隊。絶対に屈しない関東図書隊。
もはや、本がどうとか、どっちの思惑がどうのとか、どっちが正しい、というよりこの図書隊の戦う様に心打たれる。
彼らの強き意志によって苦しいこともみんなで乗り越えた時に飄々と冗談交じりに笑い合ってるその姿そのものが観てるこっちに“大切な何か”を教えてくれる。
よくわからんけど、明日からまた頑張るか、と思える映画。
久しぶりに観て良かった。ホント良かった。
なんか色々思い出した。