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心が叫びたがってるんだ。の健康オタクのネタバレレビュー・内容・結末

心が叫びたがってるんだ。(2015年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭のお城の話や成瀬と坂上の悩みの一致など、本筋は面白いのにそこに至る主人公の言動や周りの反応が理解できなくて鑑賞後は「なにこれ?」というモヤモヤが残った。

まず、およそ高校2年生がするとは思えない主人公の言動が気になった。
自作小説を知り合い程度の異性に送りつけたり、ミュージカル調でケンカの仲裁をするシーンは共感性羞恥が煽られ過ぎて観るのをやめようかと思った。散々周りを巻き込んだ癖に1つ思い通りにならないことがあっただけで全部投げだして傷心に浸っている姿も受け入れがたかった。迎えに来た坂上に対して暴言を吐くシーンも、自分のために手を尽くしてくれる人に対して思ってもそんなこと言うなよと引いてしまった。
主人公の言動は、この先も人生が続いていくという事への考慮が全く感じられず、本当に16歳(17歳?)かよと思ってしまう。
ただ、主人公が小学生から高校2年生になるまでまともなコミュニケーションをとっていなかったことを考えると、そういった言動も理解できなくはない。我儘な態度も不倫による離婚を娘のせいにする父親の存在や、離婚後の荒んだ家庭環境を思うと仕方のないことかもと納得することはできる。

納得できなかったのは、主人公に対する周りの対応が優しすぎるということだ。クラスの誰もがお互いに対して思いやりをもって接しているというなら、主人公のキツい部分も我慢できる人たちなんだろうと納得できるが、クラスメイト達は特別性格が良いわけではない。
先生を馬鹿にしたり、ふれ校に文句を言っていたり、よくある一般的な高校生の価値観をしているように見える。そんなクラスメイトが、主人公の言動に対して全くネガティブな言葉を使用していないことに、じわじわと違和感が積もっていった。
そもそも、冒頭で主人公が「いや!」と叫んで教室を逃げ出した時点で、クラスメイトにもっと距離を取られていてもおかしくない。ミュージカルに反対していたギャルがいるなら、主人公が当日逃げ出したことに関して普通もっと文句を言うだろと思う。それが痴情のもつれが原因とわかったならなおさら。
野球部の田崎も、肘のことでいじけていたとはいえ、恋人でもない同級生に「ラブホ行こう」と言えるようなデリカシーのなさはそんな急に変わらないと思う。田崎はラストシーンで主人公に告白していたけど、あれは「主人公が振られて可哀そうだから田崎とくっつけとくか」という程度のものにしか見えなかった。主人公のような人間が、ノンデリの田崎とくっついても、また恋愛関係で周りに迷惑をかける未来しか見えず、かなり後味が悪かった。

話題性だけで起用されたであろう乃木坂の曲がエンディングで使用されていたのも、この映画の後味を悪くしている一因のように感じた。
乃木坂のことは好きなのでやめてよ…と思ってしまった。
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