ゆらゆら帝国のライブを1度だけ体験したことがある。「観た」でも「聴いた」でもなく「体験」とか「経験」と言った方が適切だと思う。
田舎の高校生だった頃から細々と聴きいていたゆらゆら帝国を一度は生で観たいと思っていたところに、『空洞です』のリリースとその後のツアーがあったのだった。
個性的な3人が奏でる音に圧倒されて、目からの情報量と耳からの情報量がズレたままライブは終わった。
爆音映画祭で観たからかもしれないが、このドキュメンタリー映画は強烈な体験を思い出させてくるには十分すぎるものだった。だんだんと暮れていく日比谷野音の景色は終わりが近づいていることを嫌でも知らせてくる。やれることはすべてやり切ったと解散したこともうなづけるライブが映像に残されたことと、千代さんの死去でもう2度と新たなライブがないこととで胸がいっぱいになった。
