このレビューはネタバレを含みます
アスペクト比1:1のスクエアの中に収められた美しい映像はさることながら、音響と音楽が素晴らしい。
差し込む陽光の中で静かに滑るアイスダンスのシーンは神々しく胸にくるものがあった。
景色の音やスケートリンクの音といった環境音が雄弁に語って映画が成り立っている。
さくらが荒川がパートナーといちゃつく姿を見たことへの嫌悪感や不安は次のシーンの踏切音が暗示していたように思う。
緊張すると特に吃音が強くなるタクヤは、荒川からスケート靴を借りる時と貰う時の2回の「ありがとう」は大きく吃ってしまう。
最後にタクヤがさくらに何を伝えたのか、それは視聴者の想像に委ねられている。
はじめは吃り具合から「ありがとう」なのかなと思ったけれど、吃音で「た」か「だ」と言っているようだったし、これから何かがまた始まっていく前向きな言葉なのかもしれないと今は思っている。