一人旅

プロジェクト・アルマナックの一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
ディーン・イズラライト監督作。

日本では劇場未公開の隠れた佳作で、タイムマシンを完成させた高校生たちの数奇な体験を描いたSF青春スリラーです。キャスト&スタッフは無名揃いですが、娯楽映画の雄マイケル・ベイが製作に名を連ねています。

10年前に亡くなった父親が遺した設計図を頼りにタイムマシンを自力で完成させた天才的な高校生デヴィッドとその仲間たちが、気軽に過去に戻って自分たちの都合のいいように過去の出来事を改変していく中、やがて彼らが想定していなかった深刻な事態が続発するようになって…という“青春群像+タイムトラベルスリラー”の佳作であります。

全編がビデオカメラの録画映像の視点というPOV方式を採ったSF青春スリラーで、他のタイムトラベル物と同じように、頻回な過去の改変によって制御不能の事態に陥っていく高校生たちの原状復帰に向けた奔走を描いています。

タイムマシンを完成させるほどの天才頭脳でありながら、タイムトラベルの目的が授業の落第を回避するだったりスポーツくじに当選するだったり音楽フェスに参加するだったり意中の女の子と恋愛成就するだったり…と平凡な高校生レベルの発想に留まっているのが少しもったいない印象ですが、『バタフライ・エフェクト』(2004)のように些細な過去の改変が未来に予測不能で甚大な影響を及ぼすというSF感満載の連鎖反応と事態収拾がスリリングに活写されていますし、Xboxやプリウス内臓の既存装置をタイムマシンの部品に転用するという発想がユニークであります。
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