昼猫

千年医師物語 ペルシアの彼方への昼猫のレビュー・感想・評価

4.0
あらすじ
まだ現代より医学が進歩していない中世ヨーロッパとペルシアが舞台。幼い頃、母親を病で亡くした青年ロブがトラウマを医学への探究に変えペルシアを目指す。原作はベストセラー小説。主演はウォーキング・デッドのジーザス役で有名なトム・ペイン。これはかなりの掘り出し物だった。

前半はロブが遥か遠く離れたペルシアを目指す道のりを描き、後半はペルシアで医学を学ぶロブの成長物語となっている。

当時のペルシアのイラン社会では宗教上、医療行為及び遺体の解剖は神への冒涜とされ禁じられていた。医学の知識が不十分の中、蔓延する黒死病。これにより多数の死者を出し、ロブ達医療従事者は無力な現実を突き付けられる。決心したロブは命を賭けて、禁断の行為に手を染めることになる。
現代の医学の誕生の瞬間そして、ペルシアでのイスラム教徒とユダヤ教徒の対立から戦争にまで発展するスペクタクル的な展開もありテンポも良く飽きさせない。終盤のクライマックスの手術までの流れは若干都合が良すぎる気もするがまあエンタメ的にはこれしかない展開である。ラストシーンの余韻も心地良い。ぐうの音も出ない完璧なラスト。
医療、宗教、戦争、様々な要素が詰め込まれた壮大なスケールで描いた作品。2時間半もの長尺を感じさせない傑作。
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