尿道流れ者

クリミナル・アフェア 魔警の尿道流れ者のレビュー・感想・評価

3.0
墨で描かれた美しいオープニングから始まる禍々しい香港ノワール。人それぞれが持つ悪意とそこに嗾けるように動く超越的に存在する純なる悪意。クトゥルフ的な匂いすらさせつつ、悪意を存在として描くなど独特なること極まりない。

罪悪感と気がかりと炎が主人公の秘められた過去とそこに瞬間的とはいえ渦巻いていた悪意を徐々に蘇らせる。そんな主人公の中の密かな悪意に大きく純粋な悪意が寄り添い、共に沈んでいく。サイコパスとも言える人間の心理的な揺らぎが映像に現れ、おっかねぇ雰囲気が面白くも怖い。

とはいえ、2時間ドラマ的な展開や心理学のお姉さんとのやりとりなど少しダラダラと長く感じる部分もあって、ハートオブファイトのようなギュンギュンな画面への求心力はあまりなかった。
しかし、ラストの数十秒でやりたいことを全て詰め込んだようなカークラッシュや銃撃戦は迫力満点。

画面にそこまでの力がなく、特殊な題材や展開または演出と普遍的っぽく描いたテーマが少しミスマッチになってるような感じが否めないがなかなか面白かった。