daiyuuki

らのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

(2014年製作の映画)
4.0
ある夏の夜、まゆかはアルバイトの帰り道で突然見ず知らずの男に拉致される。暴行を受けたまゆかは心に深い傷を負ってしまう。
解放されたまゆかは日常生活に戻るのだがその心の傷はやがて奇妙な突起物や痣として具現化してゆく。
拉致事件の被害者のはずのまゆかは自らを責め、それは自傷行為として現れる。
監督の水井真希自身の拉致暴行体験を元に描いた傑作ヒューマンサスペンス映画。
性犯罪特に拉致暴行事件を問うテーマで描いた傑作では石井隆監督の「甘い鞭」が写実的に描いたのに対して、「ら」は写実的に描いた部分もあるが主人公の葛藤を森の中で心の傷が具現化したトゲや痣の痛みに苦しんだり拉致暴行事件の加害者が蜘蛛のようなモンスターになったのと主人公が戦ったりファンタジーの形で丁寧に描いたことで、より被害者の苦しみや葛藤が伝わってくる。
まゆかは、拉致暴行事件の加害者が「話し相手になって欲しい」という求めに応じながら加害者の部屋の様子や車のナンバーを押さえ警察に通報しようとするが最寄りの警察署に保護者と被害申告に行かなければならなくて通報出来なかったり、拉致暴行事件の加害者がまぁまぁのイケメンで彼女持ちなのに彼女への苛立ちから女性への要求や殺意をエスカレートさせるという犯人像、ガムテープでぐるぐる巻きにされ殴られ顔を無残に切り裂かれ暴行される拉致暴行事件の残酷さ卑劣さを丁寧に描いたディテールが、拉致暴行事件の当事者ならではのリアリティ。
性犯罪の卑劣さ残酷さを啓蒙する意味でも、もっと見て欲しい傑作映画です。
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