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合葬のisopieのレビュー・感想・評価

合葬(2015年製作の映画)
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2015年10月2日(金)ユナイテッド・シネマ豊洲。

自主映画出身の新人監督が劇場デビュー作に時代劇を撮るという心意気やよし。松竹撮影所としても時代劇の未来を見据えた企画というべきで期待したが。

主役の三人の俳優が彰義隊よりも白虎隊のほうがふさわしい、青年というより少年らしさをまとった顔つきなので、歴史の波に翻弄される青年の苦悩は希薄。
いよいよ戦争が始まると、岡場所に繰り出して女郎と遊ぶくだりも、とてもそんな年齢にはみえない。日本人の顔はだいぶ幼くなったものである。

主役のほうがそんなふうに子どもっぽいのだから、周りを時代劇にふさわしい俳優で固めればいいものを、オダギリジョー以外、ほぼおとなの役者は登場しないので、彰義隊がひじょうに閉じた子どもたちだけの世界にみえて、彼らの悲劇のありようはますます白虎隊ふうになってしまう。
作り手たちはせめて澤井信一郎の『福沢諭吉』を観たのだろうか。

原作は未読なので、時おり挿入される小泉八雲か内田百閒かという怪談ふうのエピソードの意味がよくわからない。
わからないといえば、女声ナレーション(カヒミ・カリィ)は誰の視点なのだろうか。
音楽(ASA‐CHANG&巡礼)は音数の少なさに拍子抜け。挿入歌が流れるところは映画とミスマッチだったと思う。
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