その目にうつるものが、その耳に届く音が、優しく美しく、棘などひとつもないものでありますように。そうじゃないと、おかしい。そうじゃないと、そうあってくれないと、困る。
徳江さんが居るだけで涙が出てくる。徳江さんと店長さんがあんを作る姿を見て、なぜだか涙が出てきて、世界にはこんなに優しい場所があるんだと思った。もしも彼らになにか悲しいことが降りかかったら、私は息ができないと思った。
でもじゃあ私、現実で、どうするかな。周りに流されて、なんとなく怖がって、どら焼き屋さんから遠ざかってしまうかもしれない。それが今、ほんとうに悲しく、悔しい。
想像することなんだとおもう。目を凝らして、耳を澄ませて、丁寧に触れることなんだとおもう。やっぱり、誰のことだって傷つけちゃいけない。
ほんとうにどうか、悲しい思いなどしないでほしい。ほんとうにほんとうに、陽の当たる場所で、優しい風に吹かれて、笑っていてほしい。願うだけじゃなくて、どうしたらいいんだろう。この映画をずっと流していてほしい。そうしないと私は。
