ノットステア

あんのノットステアのレビュー・感想・評価

あん(2015年製作の映画)
4.5
○感想
大学の先生から紹介していただいたのを思い出し、TVでやっているのを録画して観た。
静かで、穏やかな気持ちになる映画。
丁寧に親切に生きたい。あんなふうに丁寧にどら焼きを焼いてみたい。あんを仕込んでみたい。
焼きたてのどら焼きがおいしそう。
原作小説も読んでみたい。



○登場人物(キャスト)

・店長さん(永瀬正敏)
どら焼き屋の店長さん。昔暴力事件を起こし、世話になった先代のお店を継ぐ。人と距離をとりながら生活するが、トクエさんと出会い次第に心を開いてゆく。

・トクエさん(樹木希林)
どら焼き屋のアルバイト。若い頃らい病(ハンセン病)を発症し、療養所に隔離されてしまう。あん作りの名人で彼女が作ったどら焼きは評判になる。

・女子中学生(内田伽羅)
シングルマザーの家庭で育つ。高校進学をためらう多感な女子中学生。黄色いカナリアを飼っているが、大家さんにばれて家出する。

・施設の友人(市原悦子)
トクエさんの親友。トクエサンの死後、カセットテープとあん作りの道具を店長さんに託す。






○あらすじ
ワケありのどら焼き店長のもとにおばあさん(トクエさん)訪ねてくる。
「あたしだめかしら。時給は300円でいいの」
店長は断る。
「またくるわね」

トクエさんはまたやってくる。
「50年あんを作ってきたの。あんは気持ちよ。これちょっと食べてみて」

「味も香りもぜんぜんと違う。びっくりするほどおいしいんだよ!」

「もしよろしければ、手伝ってくれませんか?」
「どら焼きはあんが命でしょ?お天道様が顔を出す前に仕込みをはじめます。」

「豆の渋みが残るから。」「ゆっくりね」「湯気の香りが変わってきた」「おもてなしだから」「せっかく来てくれたんだから、畑から」「いきなり煮たら失礼でしょ」

「ぼく、どらやきあんまり好きじゃないんです。甘党じゃないんですよ」
「じゃあなんで店長さんは、どら焼き屋をやっているの?」

ある日開店すると驚くことに、行列ができていた。トクエさんのあんが評判になった。

オーナーの奥さんが突然訪ねてきた。

「知り合いが言うには『ライ』じゃないかって。」
トクエさんを辞めさせろ。
「少し、時間をください」

「トクエさん、接客もしてください。自由にやっちゃってください」

「指どうされたんですか?」
「これねー、若い頃病気して、指が曲がったままになっちゃったの。」

お客さんが来なくなってしまった。
店を去るトクエさんを何も言わず見送った。

トクエさんから手紙。「あんをたいているときの私は、いつも小豆の言葉に耳をかたむけていました。ひいらぎが店長さんに声をかけろと言うんです。迷惑かけてごめんなさい。」

「店長さん、トクエさんに会いに行きませんか?」

「店長さん。楽しかったです。」
「桜がきれいだった、楽しかった。」

「僕は、トクエさんとは違う理由で、社会に出られなかった時期があります。酒場で喧嘩をして、相手に重い障害を負わせてしまったのです。」