NicoJay

シン・ゴジラのNicoJayのネタバレレビュー・内容・結末

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

とくにゴジラが好きってことはないんですが、話題性につられて『ゴジラ-1.0』を視聴。時代背景が違いすぎることもあってぜんぜん面白くなかったため、続いて『GODZILLA ゴジラ』を。
こちらは巨額の制作費をかけただけあって映像に見どころがある、と思いきや肝心のゴジラが登場するクライマックスシーンが画面真っ暗で何がなんだか…。フォード大尉(アーロン・テイラー=ジョンソン)のダイハードなヒーローぶりも、いかにもな感じで鼻につきましたし。

自分としてゴジラ3作目になったこの『シン・ゴジラ』は、現代を描いているため時代考証のアラがなく、庵野秀明総監督が「(制作費は)15億円もかかってない」と言うだけあってCGにチープさもありましたが、そのへん1億6千万ドルかけたハリウッド版と比べものになるはずもなく、まあ頑張ったほうなんじゃないのかと。
劇中、政府内の擦った揉んだとゴジラ vs 自衛隊(防衛省・自衛隊の協力あり)の場面が交互に映し出されるのも、飽きがこなくてよかったです。

日本政府の頂点にいる内閣総理大臣(大杉漣)のキャラクターはどんなふうに描かれるのだろうと思っていたら、災害緊急事態の布告や自衛隊の武器使用を認める決断をわりと早く下しており、また「自衛隊の武器を国民に向けることはできない」といった信念も覗かせていて興味深かったです。
さすがに首相がグダグダじゃあ話になりませんけど、そうじゃなくてホッとしました。

また、謎の怪獣にとどまらず進化を続ける完全生命体としてゴジラを扱い、その正体(エネルギー源など)と倒し方に迫っていく描写もよかったと思います。
一方で第1~第4形態へと進化していくゴジラ、そしてヤシオリ作戦という命名(うつむき加減に静止しているゴジラの口から血液凝固剤を体内へ流し込めるのか?)はアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を彷彿とさせ、ミサトさんの「エヴァンゲリオン、発進!」というセリフが何度か脳裏に浮かんだのはエヴァを観すぎたせいかもしれません。
あと、環境省自然環境局野生生物課長補佐・尾頭ヒロミ(市川実日子)の早口をはじめセリフの情報量がとても多く、海外で上映するときそのへんどうするんだろうなと、余計な心配をしたりも。

ともあれ、昔ながらのウルトラシリーズのような怪獣映画を期待する向きからは評判がよろしくなかったのも、さもありなんですね。
そういう人は、昔のゴジラ映画を観て「やっぱりゴジラといえばこれだよな」と言っていればいいと思います。
NicoJay

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