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シン・ゴジラのめるのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
3.6
───現代の東京にゴジラ来日!

庵野監督の作品が観たくてウズウズしていたので興味がなかった怪獣映画に手を出してみることに。
とはいえ、初代のゴジラを観ずに『シン・ゴジラ』を観るのはプライドが許さないということでお先に1954年『ゴジラ』を鑑賞。

ただ、初代ゴジラもエヴァフィルターも極力避けて一本の"新しい"映画として楽しむことにしました。


会話劇……7.5割
バトル……1.5割
破壊……1割
人間ドラマ……ほぼゼロ
と言ったところでしょうか?

日本の首相は大変だなと思ったのと、日本政府の話の進め方が如何に遅いかがよく分かった。(次第に加速はしていくが。)
これは政府に限らず会社も学校も同じだけど段取りに時間を欠けすぎなんだよな~。体裁を整えている時間があったら他に急いでやれることがあるだろう、と。
そうは言ってもチームワークが重要だし、有能な人たちが集まるとやはり強い。

ほとんどが会話劇でもダレることがないのは、登場人物の話し方と場面転換の速さのおかげ。
俳優さんみんな長台詞の弾丸トークでめちゃめちゃ大変そうだった。噛まないように頑張ったんだろうけど、逆に誰も噛んでいないのがちょっと不自然だったかな(笑)
あと、あまりに早口を強いられて若干演技力に欠けている人もチラホラいたような。監督、酷だよ。

庵野秀明監督ということで、ちょいちょいエヴァポイントもありました。でも、言うほどかなーってかんじ。挙げれば出てくるけどあえて言うこともないか。

大量のカット割りを使った会議シーンとテンポの良い戦闘シーンが庵野さんらしい。
大胆に人間ドラマをバッサリカットしているのも斬新。政府のゴジラ対応に対する国民の反応が全然分からなかったから、それはもう少しあっても良かったかも。でも、下手な人間ドラマ(家族、恋、友情)はあると中途半端になっていたような気がするからこれで良かった。
庵野さんの作品そのものが昔は哲学に寄っていたから最近は戦いに重きを置くようになったのかな?

ていうかそんなことよりも、ゴジラの第1形態?がおどろきのキモさで思い出したくない(笑)
しかも格段に知能指数が低そうで。まあ、ゴジラの知能指数なんぞ知ったこっちゃないのですが。

第4形態のゴジラはなかなか良い形をしていたと思う。
中盤で夜に街を破壊するシーンの美しさ……!悲惨なシーンなのにあまりに美しくて目を輝かせてしまった……!
ただもっと街を破壊して欲しかったです、歩きで。背中からレーザー光線を出すのがやたら多かった。(背中からレーザー光線を出せるなんて知らなかったゾ。なんかライブ会場みたいだった。)
でも、いい人も悪い人も関係なく殺されて街が無くなる怖さを十分発揮できていたのは素晴らしかった。

石原さとみの英語は役柄を考えるとアレだがそんなに責めるべきではないと思う。
それよりも『アンナチュラル』のもう一人の彼女の方が気になった。あの早口はお世辞にも上手いとは言えなくて残念だった。ふたりともアンナチュの方が輝いてたよ。

上記のように人間ドラマはほぼゼロと言って等しいが、邦画でこの破壊クオリティーを実現できたのはすごい。
そして、画面の見せ方はさすが庵野さんでカッコよかったです。お馴染みのあの曲も上手に使っていた。

凍結したシン・ゴジラの身体?に人のガイコツらしきものが浮かび上がっていたのはなんだったんだろう?
現代の日本にゴジラが誕生したのは東日本大震災の原発事故が原因なのだろうか。初代ゴジラが戦争なら現代ゴジラは震災か。
皮肉はあるけどメッセージはほとんどない。重厚感があった1954年『ゴジラ』に対して中身が空っぽなのは否めないがエンタメとしての力強さはあり。


次の『シン・◯◯』はウルトラマンということで、こちらも興味は全くないが庵野さん繋がりで新たなジャンルを開拓してみるのもいいかも…と思い始めています。
でも、その前に『シン・エヴァンゲリオン』をください。
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