《侍の映画》、Vol.20。『信長協奏曲』。
これ、大好き。
当時、コミック、TVドラマからめっちゃハマって好き。
この企画の有終の美を飾るのは、これっきゃない。初めから決めてた。
この企画、なかなかやりだしてみたら面白かった。
時代劇って、ちょんまげが、その文化で色々揉まれたり、切った張ったが多いのかと思いきや。
それももちろんあるけど、今の時代に向けて何かを伝えてきているような、伝えられるのが時代劇なんだな、と思った。
何より、時代劇、江戸時代だの何だのって、我ら日本人の過去なわけで。我らは、その延長線上にいる。理解できないわけはない。
さて、この劇場版はそのTVドラマの続きで、ついに歴史が本能寺の変に傾いてしまう。
歴史で語られる信長最後の幕引きの章。
当時はTVドラマでここまでやっておいて続きのクライマックスは劇場へ、ってかなりアコギだな、って思った記憶がある。
でも、観に行ったら、映画で良かったと思える。
やっぱり、映画としての1発の威力はすごくて、ドラマではなかなか描けないスケールのデカさがそこにある。
そのTVドラマから劇場版への迫力、スケールの飛躍が、間接的にこの小栗旬の三郎→信長のここまでの足跡と、信長として、人としての成長のように思えて壮大な集大成に見える。
この原作が本当に秀逸。
過去にタイムスリップしてしまった高校生が織田信長になっちゃう。
織田信長自体の歴史も知らないし、日和見で稚拙で未熟すぎる三郎が、戦国時代の決起盛んな時代性を通して、命の尊さや、人間としての尊厳や、平和、友情、愛の大切さを学ぶ。
それがやがて、本来存在していた信長の存在を脅かし、超越していく、、、。
というタイムスリップ戦国エンターテインメント大作なのだが、バラエティ感と、今風な雰囲気を持ち込んではいるものの、そして、三郎がどんだけ歴史を変えてそうな行いをしていても。
結局は、今の一般的に知られている日本史の戦国時代を生きる織田信長に近づく。というか、ほぼそれ。
それが本当にすごい。
だから、「実際の戦国時代とか織田信長もこんな感じだったんじゃないか」と思えてくる。
これほどライトに歴史にロマンを感じて、歴史に思いを馳せれる作品はない。
TVドラマで描かれてるからそれを観ればより一層。
織田信長も、その主要な側近達も、帰蝶も、みんなみんな愛着が湧く人柄で、それぞれの思いが感じられる。
もっと枝葉のエピソード増やしてでも、話を増やして欲しいぐらい。
みんなの熱意もひしひしと感じながら、その熱意はこの高校生三郎が信長に成りすますとこから始まったんだな、とか思うと、もう、、、もう、泣ける。感無量。
この小栗旬が着てる羽織りがいちいちハイカラでカッコいいのも注目ポイント。
流石に平時には着れないけど、今あってもどこかで着たくなるデザイン、素敵。
歴史、タイムスリップ、ラブロマンス、厚き友情、信念、プライド、アクション、裏切り、多過ぎるほどの要素をしっかりまとめ上げた最高のエンタメ時代劇だと思う。
この企画の最後に選んで間違いなし。