第二次世界大戦&太平洋戦争が舞台の作品から少し離れようと思ったのに、それを網羅するかのような作品を見てしまう性、『杉原千畝』。
外交官であり、各国の情報を入手するために世界を股にかける男、杉原千畝。
満洲進出にも大きく貢献。
その後、1939年にリトアニアで日本の領事に就任。
そこで、第二次世界大戦が幕を開け、その戦火の中、逃げ惑う6,000人程のユダヤ人にほぼ無断でビザを発行し、国外逃亡を援助した日本人。
“東洋のシンドラー”とも呼ばれているらしい。
1939年当時の日本はポーランド侵攻に始まるヒトラー総統筆頭のドイツの破竹の勢いに心酔し、同盟を持ちかける。
ドイツの後ろ盾を手にして“大東亜共栄圏”なるアジアの覇権を握るためにアメリカとソ連を牽制したかった。
つまり、ドイツと友達になりたいってことで、その友達ドイツは「人種主義」。白人がもっとも優れてるからそれ以外の人種、特にユダヤ人は人にあらず、と。
そのドイツと同盟を結んだ日本の戦時の中でユダヤ人を守ろうとする姿。
もはや非国民だなんだと非難されるどころか、ドイツの秘密警察ゲシュタポにも命を狙われる危機にすら晒されることを覚悟して目の前の命を守ろうとした彼はまさに“東洋のシンドラー”。
その前に念願のソ連のモスクワ大使館の領事になる予定だったのに、「ペルソナ・ノン・グラータ」というソ連からの拒否権を発動されてしまい、リトアニアに着任するのだが、それだけソ連や他の各国から“切れ者”“危険人物”と牽制されるほどの存在。
そんな彼がリトアニアに行き着き、そこで戦争が始まり、ドイツとソ連の板挟みになるエリアでユダヤ人を巡っての“世界的な判断”をする。
彼の妻もまた彼を支え、彼と同じように考え、力になろうとするこの二人三脚の感じがとても強い。
テレビ局映画で少し感傷的で感動的に仕向けがちな印象はあるのだけども、要所要所の撮影の規模の大きさがスゴい。
まさに『シンドラーのリスト』並みのエキストラによるユダヤ人の弾圧、連行現場はなかなか骨太、迫力がスゴい。本格的。
杉原千畝の「リトアニアでビザを発行しまくった」ことにフォーカルしているので、それ以外の第二次世界大戦や太平洋戦争がサラーっと情勢がセリフに出てきたり、映像ダイジェストみたいな感じで流れていく。
この第二次世界大戦の大海原を中心のヨーロッパで過ごし、とんでもない活動をした杉原千畝。
映画の冒頭にもあったが、きっと、当時は「そんな人いません」と日本政府も認められないことをやってのけた人物。
シンプルに大勢に流されない意志の強さに感服。