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グローリー/明日への行進のZELのレビュー・感想・評価

グローリー/明日への行進(2014年製作の映画)
3.5
デヴィッドオイェロウォをノミネートから外したアカデミー賞の罪は大きい。
ホワイトオスカーと言われてしまうわけだ。

中心はもちろんキング牧師。
演説を含め完全になりきる。
ティムロスなど実力派が脇を固める。
題材が題材なだけに差別の現実、苦しみが心に重くのしかかる。

デンゼルワシントンが演じたマルコムXとは対極的な存在とも言われるキング牧師を繊細に、そして自らにプレッシャーをかけながら挑んだのだと映画やその後の言動からも受け取れる。

そして主題歌「glory」
完璧すぎる。歌詞メロディ全てにおいてマッチしている。ジョンレジェンド、コモンのこの曲に対する想いはもちろんのこと、この映画をワンランク押し上げたのは間違いない。
グラミーやオスカーでのパフォーマンスは永久保存版。観客を巻き込む圧巻で感動的なパフォーマンスはもっとフィーチャーされるべきだ。
オスカーではこのパフォーマンスでデヴィッドオイェロウォにも涙。もちろん主演であり黒人という歴史の中で生きてきた彼が泣くのはわかるが、映画に出演していない上に白人であるクリスパインの目にも涙が光ったのは株をあげた。

オスカースピーチにてジョンレジェンドは当時の黒人奴隷の数より、今米国監視下にある黒人の方が多いと主張した。この問題は過去のものではなく現在進行系であることは間違いない。香港など世界の問題なのである。ジョンレジェンドのジェントルマンぶりは尊敬に値する。

この曲と共に世界が変わっていく様子をいつの日か、この目でみたい。

最後にひとつ。
邦題はセルマのままでよかった。
グローリーにすべきじゃない。
象徴をタイトルから消してはならない。
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