梅ちゃん

独裁者、古賀。の梅ちゃんのレビュー・感想・評価

独裁者、古賀。(2014年製作の映画)
3.2
個人的に凄く良かった『ポエトリーエンジェル』飯近俊光監督の2014年作品。

『独裁者、古賀。』というタイトルは、クラスの皆から学級委員を押し付けられた気の弱い少年に対する蔑称。物語は同様に学級委員を押し付けられた少女、副島さんと古賀少年の甘酸っぱい交流を軸に展開。副島さんから貰った手紙をクラスの乱暴者に取り上げられた古賀は、それを取り戻すべく、対決へ向けたトレーニングを始める。

いじめの描写はたとえフィクションであっても観ていて心底気が滅入る。
理不尽な暴力に対して、立ち向かっても良い。逃げても良い。それはどちらも正しい。ただ、そのくそったれな状況だけは絶対に間違っているし、願わくば、現在そういう目に遭っている人々が、されるがままにだけはならないで欲しい。当事者となったらとても難しいことかもしれませんが、そう願わずにいられません。

主演を勤める清水尚弥くん、最近よく観る弟の尋也くんによく似てホントに綺麗な顔。クラスに居場所のない所在なさげな佇まいを上手に表現しています。そして浅葱色の『誠』Tシャツがよく似合う。

副島さんの手紙を取り戻す為の対決シーンにおいては、尺の都合か加害者側の抱えているものの掘り下げが不十分の為、若干消化不良。

古賀少年のメンターたる芹澤興人演じる近所のおじさん、色々とネタが渋滞してますが、ラストにひとネタぶち込んで、スパッと終わる切れ味が見事な作品でした。