あまぞう

肉体の門のあまぞうのネタバレレビュー・内容・結末

肉体の門(1988年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

あまりに素晴らしくて2度観てしまった
とにかくかたせ梨乃が信じられないくらい美しい。まるで光を放つよう。
豊満なプロポーションと切れ長の目、ハスキーなキャンディボイスが、色気と品を絶妙に醸し出している。
彼女だけでなく、登場人物の女たちが皆それぞれ競い合うように輝いている。
かたせ梨乃と名取裕子のダンスシーンは最高に美しい百合だった!
戦後の混乱期、体を売る事でしか生きる術のない女は、夢に縋り、矜持を持ち、その為には恋にすら背を向ける。色恋が最優先じゃない。本当の気持ちは最後まで言わない。でも女だから、恋しい、胸が切ない。そこんとこのかたせさんの演技が純真で胸に迫った。
そんでその相手の渡瀬恒彦が、これまたプラトニックに彼女を愛していていい。
命尽きる最期の瞬間まで、彼女の夢を守ろうとした。だから彼女の夢は叶って、そこは束の間のパラダイスになった……
女は男に弄ばれるだけの存在であるという世界の中で、筋を通し愛される事を諦めた女と、見返りを求めず彼女の力になろうとしたこの2人の恋愛がとても尊く、美しいものと思えた。
激しくも、哀しい、流星が燃え尽きる最期の瞬間のような生き様だった。
あまぞう

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