前作から久しく時間が経ち過ぎてやや忘れてて、観ながら「あぁ、そうだったわ」ってなりながら観てた。
ジェニファーローレンス、カットニス、とにかく彼女がこの4作品通して美しく聡明で気高い。このシリーズ通しての象徴として、全てを背負い、全てを超えていく、すべての人のために立ち上がる強きヒロイン。
体制側の反乱予防のゲーム、“ハンガーゲーム ”での彼女のまっすぐでひたむきで気高い思想や行動が、逆に体制側に象徴的なヒロインに仕立て上げられてしまう1作目。
そこから、体制側のプロパガンダに利用されながら体制側に反旗を翻した2作目。
反旗を翻したことにより、体制側にも反乱側にも今まで見えてなかった裏側の片鱗を覗き、真相がぼんやりと顔を見せるも、自らの存在との矛盾にもなっていく悩ましい3作目。
それらすべてを背負って、これまでの自分の価値をある意味で利用しながら、全てに自分なりの決着をつけるファイナル、4作目。
なかなか果てしない道のりだった。
本当にカットニスが最後まで1人で背負い切った。それがものすごい重みを作った。
この4作目はその“レガシー”が“レガシー”になるような、そんな作品。
3作目からはもはや当初の“ハンガーゲーム ”ではなくなってはいる。
広き世界を管理する側とされる側、統治する側と反発する側。
その壮大な2大勢力の狭間を利用し、利用されながら、藁をも掴む思いで必死にもがき苦しみながら、自分にしかできないことを突き詰めて1歩1歩行動を起こす彼女の強さ、このシリーズは本当にこれに尽きる。
4作目では、いよいよ体制側の中枢を討たんと首都に凱旋していく。
この体制側を統制する大統領が悪いのか。
はたまたその体制側の理不尽な抑圧に耐えることから打倒を掲げてクーデター起こす反乱側が悪いのか。
混沌としていく情勢の中で、どちらにとっても希望にもリスクにもなるような肥大し過ぎる彼女へのヒロイズムが、更なる混乱を生みながら、新たな秩序を作るような、、、作らないような。
彼女の向かう道と、彼女なりの帰結と、その結果。
4作通じて、彼女が守り続けたモノ、守れなかったモノ、、、それらが全て集結して、終結する。
フィナーレだけあって、ここまでのキャストもしっかりちゃんと出てくる。そして、ここまで来たのに意外とあっさりやられてしまうヤツもいる。
首都キャピタル郊外に乗り込むにもホロなる無人武装の罠が散りばめられていたり、地下に潜るも“別の人ならざる”モノどもとの戦いがあったり、地上でも“ハンガーゲーム ”並みの仕掛けが施されていたり。
色んな面々がついに揃い踏みで、それぞれの魂胆が顔を出し、カオスなことになる。
その中で、裏切りや立場の変化があって、カットニス本人も誰を信じれば良いのか、どこに向かえば良いのか本当に混沌としてくる。
それでも逃げずに、綺麗事や建前だけでなく、自分の当初の悲しみも忘れず、他人の後悔や志半ばだった仲間たちの思いを背負い、この誰にとっても幸せではないと思えてくる仕組みの世界に終止符を打つフィナーレ。
少し唐突で無理もないわけではいが、前触れなくわかりやすい事態が次から次へと起きる。
誰が何して生き残って!この話がどこに着陸するのか、本当に最後までわからない。
4作観て初めてこのシリーズこの世界の、仕組みと1つの破壊と再生、淘汰の姿が垣間見れた壮大で重厚なSFヒロイズムシリーズ。
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