ハレルヤ

ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲のハレルヤのレビュー・感想・評価

3.7
人間たちによって理不尽な目に遭わされた犬たちが反乱を起こし、復讐劇を繰り広げるハンガリー発のパニック映画。

題材だけ見ればまるで「猿の惑星」の犬版みたいな感じ。外れな雰囲気を匂わせていながらも興味があったので見てみました。

様々な悪い状況が重なり、飼い主の少女リリと離ればなれになってしまった雑種の大型犬ハーゲン。野良犬同然の状態になり、保健局から追い回され、ホームレスに拾われたと思ったら裏社会組織に売られて闘犬として戦わされる。逃げ出しても結局捕獲されて、殺処分される寸前の段階になる。

ここまでだけでもこの修羅場の連続。犬を愛する人なら見てて心が苦しくなる場面だらけ。そこから人間を憎む犬たちの復讐が幕を開けます。

保健所から脱走した100匹以上の犬たちの疾走シーンはCG無しの本物。白昼の街中を走り回り荒らしまくるその光景は圧巻です。これは劇場で見てみたいと思うほど。よくここまで大勢の犬をしっかりコントロール出来たなと驚きでした。

その後半で自分たちを虐げた人間への報復シーンはホラーチック。犬に襲われても振り切れるだろ?と思っていましたが、いくら大の男でも沢山の大型犬に同時に襲われたらひとたまりもないというのを思い知らされます。

元々この事態を引き起こしたのは犬という弱い立場の者を酷い扱いにした人間。行き場のない憤りを抱えた者の反撃ほど怖いものは無いと感じましたし、これは人間と犬という関係だけではなく、人間同士や他の動物にも言えること。

メッセージ性もしっかりと有していて、あっという間に見終わったと感じるほど充実した内容でした。ただ人間パートのドラマがあまり魅力的じゃないし、雑な印象だったのが残念。でもあの犬たちの圧巻の演技は必見もの。それだけでも一見の価値はあるでしょう。
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