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オペレーション・ワルキューレのmhのレビュー・感想・評価

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ドイツのテレビ映画。
数多いヒトラー暗殺計画のうち、いちばん大規模だった「7月20日事件」だけにフューチャーした、セミドキュメンタリー。
同じ信管と同じ爆薬を使った閃光作戦にはノータッチ。7月20日事件に向けてたんたんと話が進んでいく。
・二個用意した爆薬のうちひとつしか使わなかったこと。
・爆薬の入った鞄を誰かが動かしてしまったこと。
ヒトラーが死ななかった理由とされている要素も作中ですべて描いているが、こうしておけば良かったみたいなものはなかった。
その後のワルキューレ作戦発動もたっぷりやってくれる。
個人的なツボは、老将軍が拳銃自殺に失敗するくだり。映画には関係ないけど、「若きウェルテルの悩み」がこんな感じだったのかもしれないと思ってしまった。そうか、ゲーテはドイツか。
銃殺シーンも長めで良かった。副官、いいやつだった。
「ジョジョラビット」ではないけど、この時代においては、身体的な欠損こそが人間らしさのなによりのあかしみたいな隻眼片腕の主人公が完璧だった。まあ史実通りなだけなんだけども。
当時はテロリストも同然でも、いまとなっては、ナチスドイツにもあった良心とされてるのが、歴史の皮肉だね。伊藤博文を暗殺した安重根が英雄扱いされているのと似てるようだけど、バックボーンはかなり違う。
戦争もので全編ドイツ語というのもなんだかんだで珍しい。オリジナル言語原理主義者にとっては至福の一本かも。
ドラマチックさはトムクルーズ「ワルキューレ」に及ばないけど、その分、こちらにはリアリティとそれに伴う緊迫感があった。
四年後に公開になる「ワルキューレ」に与えた影響はかなり大きかったはずで、そんな意味でも楽しめた。
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