このレビューはネタバレを含みます
最初のうちは手話で交わされる会話の内容が気になったりもしましたが、
ワンシーンワンカットでじっくりと捉えられた映像、演者のアクションや手話の強弱、そして生々しい音が言葉以上に饒舌で、
違和感なく作品にのめり込むことができました。
描かれるのはひとりの少年の物語。
「聴覚障害者の理解を」などという道徳的な要素はまったくなく、少年が暴力と犯罪とセックスの世界に支配されてゆく姿が淡々と映し出されています。
それだけに寄宿学校の仲間がバックしてくる大型トラックに気付かずに轢かれてしまうシーンにはハッとさせられるものがありました。
斬新な映画表現や「聾唖であること」の扱いに感心しつつも、純粋なストーリーの弱さがちょっと気になりました。とても陰惨で後味が悪いんだけれども残るものがあまりないというか。そこがちょっと惜しかったかな。
いままで知ることがなかったウクライナの生活文化が垣間見えるところはとても興味深かったです。
トイレがオープン過ぎる。