よーだ育休中

ビューティー・インサイドのよーだ育休中のレビュー・感想・評価

ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)
4.0
18歳の誕生日を境に《寝て起きたら姿が変わる》という特殊な体質になってしまったキム・ウジン。オーダーメイドの家具職人として世間と関わらずに暮らし、ちょっとイケてる見た目の日にはその日限りの火遊びを楽しんだりしていた彼が、ふと立ち寄った家具店に勤めていた女性に恋をする。


◆ 大事なのは見た目よりも中身

という恋愛モノの現時点での究極系が今作なのではないでしょうか。見た目が不釣り合いな男女の恋愛とか、人ならざる者との恋愛とか、顔の見えないSNSから始まる恋愛とか。似たようなテーマを含んだ作品は数多いですが、《不定形》とも言える容姿を持ってきた今作は発想の斬新さも、その掘り下げ方も、とても素晴らしい。

本当は29歳(らしい)のキム・ウジンは、寝て起きるたびに体型も、年齢も、性別も、国籍さえも関係ない姿に問答無用で変身してしまうという《怪人二十面相》もびっくりな特異体質の持ち主。18歳の誕生日、思春期真っ只中の彼が朝起きて鏡を見たら冴えないおじさんになっていたって、辛すぎるなぁ。

ファンタジーな特異体質で《見た目より中身》を匂わせながら、ちゃっかりイケメンになった時にバーでナンパする《見た目》を使った演出が入っているのも上手い。大勢の役者さんがキム・ウジンを演じていたけれど、結局本当の彼の姿が明らかにされないのは良かったな。《僕》がキム・ウジンですって言う様な演出は好き。


◆目の付け所がシャープだね!

とっても夢のある設定だからこそ、色々気になってしまいました。〝この不思議体質は何故なのよ〟っていうよりも、〝え!この体質ってどんなことまでできるの?〟って。

モデルの人は《実在した人》なのかな、《完全オリジナル》なのかな、とか。

朝起きて自分の好みどストライクの女の子になってたらどうしよう!とか。

秘密を知っている親友ハン・サンベク(イ・ドンフィ)に口説かれるシーンがあったけど、女の子の姿だと感じ方も女の子よりになったりするのかな?とか。

秘密を打ち明けた恋人のホン・イス(ハン・ヒョジュ)から〝死なないの?〟って聞かれてたけど、お爺ちゃんになったら関節とか骨とか内臓とかも老化してるのかな?だとしたら危なくね?とか。

どんな姿でも器用に家具を作れていたけど、見た目が変わると才能(たとえば絵が上手くなったり、歌が上手くなったり)も変わるのかな?とか。

外国人の姿になった時、韓国語しか《聞こえない》のに《話す言葉が外国語》なのはなんでだろう?とか。あ、大人の事情か。

何だか楽しそうな体質だな、と思いながら会社帰りの電車を見回してみたけど、《明日の朝おきたら、この中の誰かになってます》って言われたらちょーヤダと思った。


◆話の展開も、ラストも素敵!

韓流駆け出しの僕ですが、なんとなく気づいています。韓流、意外とヘビィなパンチをお見舞いしてくるんだなってこと。

今作も《不思議体質》にフィーチャーしていくのかと思いきや、中盤以降はキム・ウジンではなくて、彼と付き合っているホン・イスの苦悩にフォーカスされていきます。そうきたか!しかも、掘り下げ方が上手すぎるな!

同棲しているわけじゃなし、デートで待ち合わせしても誰が彼なのかわからない(そもそも男性の姿であるか)なんてわからない。急に後ろから手を握られて、知らない男性に笑いかけられる。そりゃこんなの恐怖でしかないですよね。事前に写メ(死語)でも送っといて欲しい。

友人や同僚に紹介しようにも紹介できず、様々な目撃談から〝不純異性交遊をしている〟なんて変な噂が立ち始めて。あぁ、しんどいな。


ボコボコと重めなパンチをいただきましたが、それでもとても爽やかで素敵な作品でした。日本人の女優さんが出てくるという嬉しいサプライズも。上野樹里は美人だったし、蒼井そら(名前だけの登場)には笑ったw


《まだ観てないん会》初参加させていただきました!Filmarksを始めるまではハリウッド産のSF・アクション・ファンタジーばかりの偏食家だったので、とても素敵な会に参加させていただけたなぁと感謝です。ありがとうございました!(ネーミングセンスもめっちゃ素敵!)