きえ

はじまりへの旅のきえのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
4.1
独自の教育理念に基づき森深く自給自足のサバイバル生活を送る父親と6人の子供達。が、母親の葬儀に向かう旅で現代社会、現代教育との乖離を突き付けられる…
教育とは、親とは、家族とは、人生とは…考え得る全てが詰まったロードムービー。是非多くの人に見て欲しい作品!

この世の中にはカラフルな色が存在する。子育てはどうしたって親の価値観(色)が投影されるけど良かれと思ってやっている事が子供にとっていいとは限らない。森の”緑”だけが色ではないのよね。この世に存在する沢山の色を教える事、知る事、そしてその中から自身で選ぶ事の大切さを感じた。その時に必要なのは自主的に考える力が身に付いているか。父親の教育方針は型破りで一方的に見えるけど、人生を生き抜く力=自主的に考える力を子供達に齎したと思う。かなり極端ではあるけど…

そして頭は柔軟に。信念を貫く事は大切だけど、他人の意見や他の価値観を入れないと言うのは別問題だと思う。都会の考え、現代の教育事情に触れ葛藤し始める父親の姿は、悩める親なら誰しも共感出来るはずだ。

教育方針に限らず人間の行う事、考える事には親だろうが子供だろうが間違いはある。大切なのはその都度立ち止まり考え修正して行けるかどうかだと思う。幾つだろうがどんな立場だろうが過ちに気付いた時、きちんと謝れる大人こそ本当の大人だと思う。この物語における私の1番の感動ポイントはここだ。

教育は親から子への一方通行に見えて実は相互作用し合うもので、寧ろ子供によって親が成長させて貰える為のものなのかもしれない。久々に清々しい感動と見終わった後の充実感で満たされた素敵な作品だった。色々学べる要素が詰まっててほんとオススメです!

追記:軍隊も真っ青な⁈過酷なサバイバル教育によく子供達反発しないなぁと途中まで思いながら見てた。私だったら超反抗的になる(笑)
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