ゆうき

はじまりへの旅のゆうきのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
3.9
キャラクターに個性があり、面白い物語でした。

娘が『ロリータ』を読んでいると、ベンがその意見を聞く。彼女は、興味深いという曖昧な答えをする。それに対しベンは、具体的に答えるように言う。そうすると、語りの分析とジェンダー論を交えた分析をした。それは、文学部の授業のようだった。ベンは、本を読み、自分の言葉で考えさせることで、思考力を子供達につけさせようとした。しかし、映画やコミックなど増殖し続けるメディアの文化事象を考えれば、テクストだけに向かうのは危険である。なぜなら、文字作品を正典化してしまい、解釈可能性を狭め、二次創作物やアダプテーションをコピーとしてオリジナルとの二項対立を作り出してしまう危険があるからだ。また、社会批判はラディカルな片側からの理論の押し付けであり、止揚されていなく、説得力がない。
それでも、資本主義に徹底して背を向けようとする姿とやり過ぎて反省する父親の姿を描いている点が良かったです。
なぜ、チョムスキーなんでしょう。偉大なアメリカ詩人であり批評家のTSエリオットの誕生日も祝ってあげてください。
ゆうき

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