けーはち

はじまりへの旅のけーはちのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
3.8
文明社会、資本主義、キリスト教に背を向け、ロハスだのヒッピーだの生ぬるいことは言わず、山奥で狩猟採集、山肌をロック・クライミングし一流アスリート並のトレーニングをこなし、夜は高度な英才教育。ところが、病んだ妻が町で亡くなり、義実家が教会葬と墓地埋葬を主張。それは妻の本意じゃない。文明社会未体験の子らを連れ、いざ遺体奪還の旅へ──ヴィゴ・モーテンセン親父率いる隠者家族のカルチャー・ギャップ系コメディ家族ドラマ&ロード・ムービー。最初は奇矯な主人公家族に感情移入させ愉快痛快な現代文明批判と思わせ、だんだん他人との感性のズレ、話題や倫理観の噛み合わなさ、空気の読めない迷惑さ、そして父親の家父長的な権威の失墜、幾つかの社会との決定的な決裂を見せつけながら、最後には歩み寄り妥協し家族再生するハッピーエンドの展開は、まま予測の範囲内だけど秀逸。奇しくも先日観た『万引き家族』とのシンクロニシティを感じる場面も(食べ物救出作戦!)。