影屋れい

クリード チャンプを継ぐ男の影屋れいのレビュー・感想・評価

3.5
『クリード −チャンプを継ぐ男−』。Jrは知らないことだろうけれどもロッキーは以前、愛弟子に手酷く裏切られた過去がありますから…。そりゃ、簡単に引き受けられませんよね。苦悩が察せられます。それでも引き受けるロッキーは漢です。親子鷹ならぬ師弟鷹の王道でストーリーは進んでいきます。然しながらロッキーの未熟さよ。歳を重ね丸くなり、酸いも甘いも噛み分け、人生を達観した完璧な人物になったかと思いきや…。まぁまぁ、情けない未熟な部分があるある。だがそれが良い。この人間臭さ、決してフィクションと片付けられない生々しさが本作の素晴らしい所かと思います。
ただ、私事でありふれた話ではありますが今作品のキーたる『父親』への尊敬と愛情には共感できないのが辛いところ。私自身が父親を知らず、かつ尊敬できる背景もないので、そこを切り捨てて没入し鑑賞できなかったのが悔やまれます。全くもって個人的な八つ当たり的な事なので作品に対して申し訳なく思います。

でもあれですね…私も思わず『継ぐもの』を欲してしまいますよ。愛おしく哀しくなる罪深くも熱い名作。
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