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エイリアン:コヴェナントのinazumaのレビュー・感想・評価

エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)
3.8
『エイリアン』前日譚の第2弾。

神と人間の間で交わされる聖約を意味する「コヴェナント」という言葉が、本作では神=創造した者、人間=創造された者に置き換えられ、広く様々な形で描かれていました。人間とアンドロイド、エンジニアとエイリアンなどといった″関係″がまさにそれで、今回は″新たな関係″が発覚することになります。
聖約について調べると″不従順(従わないこと)″により罰を受ける定めのようで、今思うと本作の冒頭で、亡き船長の後を継いだクリス船長と船員たちの関係も主従関係という意味では「コヴェナント」といえる。さらにクリス船長に″従う″ことで、船員たちが罰を受ける(死ぬ)という″矛盾″にもなっていて面白い。こういった聖書に対する矛盾は前作『プロメテウス』にもありましたが、「神なんていない」と言っているようにも思えて、エイリアン世界の地獄ぶりを実感。

いろいろと考えさせてくれる(心地よい時間をくれる)映画作りはさすがリドリー・スコットという感じですが、正直なところ「エイリアン」がタイトルに入っている作品にしてはエイリアンの影が薄いと個人的に感じてしまった…
今回メインで描かれるのはマイケル・ファスベンダーの激やば変態アンドロイドっぷり。そして、なぜか本作から急速にパワーアップしたゴア描写。この2点にエイリアンの存在は影へと追いやられてしまった感じ。というか、本作はエイリアン誕生譚のようにみえて、実はフェイスハガーの誕生譚でした。人間や別の生命体を宿主とすることでゼノモーフが生まれるのは既に『プロメテウス』で見せてしまってるし…新鮮味に欠けてしまっている。。
白いエイリアンもそりゃ怖いですが、、『エイリアン4』のニューボーンをみてしまっているので、うーんやっぱり新しさを感じない。
後味も″悪い意味で″悪いし!

ちょっと残念でしたが見応えは十分すぎるぐらいありました。
リドリー・スコットには是非ともまたエイリアン作品を作ってもらって挽回していただきたい!!
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