ハリィしろかわ

エイリアン:コヴェナントのハリィしろかわのレビュー・感想・評価

エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)
3.7
【 シャワーでイチャつくカップルは必ず死ぬ】

今年見逃した映画のひとつ、「エイリアン コヴェナント」、DVDで年末ギリギリで鑑賞。


「エイリアン」の前日譚という触れ込みで公開された前作「プロメテウス」で思いっきり肩透かしを食らった私としては、本作にそんなに期待してなかったのですが、観終わったら、「普通に面白かったでーす。」


本作は、(当然ですが)前作「プロメテウス」の続編でありながら、第1作「エイリアン」のリブート的要素もあり。


・密室の宇宙船にエイリアンが侵入

・乗組員たちが次々にエイリアンに殺される

・残された女主人公がタンクトップ一張でエイリアンと対決(というかエイリアンを宇宙に追い出す)

・本当の悪いヤツはアンドロイド

と、「エイリアン」シリーズのお約束をきちんと守ってくれたので、

前作の「なんか、訳が分からんうちに映画が終わってた(しかも話が未解決)」のようなフラストレーションも溜まることなく、

まるで第1作「エイリアン」のおさらいを観ているようで、シンプルに楽しめましたね。

主人公の女性も、なんか終始泣きっ面でしたが、エイリアンとの対決シーンではアクションも見せてくれて、よかったです。

 

そして、前作「プロメテウス」の続編という点から見ると、本作の真の(悪)主役はアンドロイドのデビットであり、

「プロメテウス」と「エイリアン コヴェナント」のセットで、「デビットの悪の創造主物語」として成立するのだと実感。

アンドロイドの自分の創造主である人間って、寿命があるから自分より先に死ぬし、自分よりも愚かな行為をしてばかりで不完全な存在、

それに「完璧」な自分が創造主になれなくて、不完全な人間が創造主になれる(子供を産む、アンドロイドを作る等)なんて、なんか納得できない。だったら、自分はあの「エイリアン」をたくさん育てて、新たな創造主になっちゃおう!

と思ったのかどうかは知らないけど、デビットの隠れ家にはエイリアンの元や「エイリアン観察日記(?)」みたいな絵がたくさんあり、

(ここで前作「プロメテウス」の主役ショウ博士もエイリアン誕生に利用されていた、という衝撃の事実が判明!)、おなじみフェイスハガー登場からのエイリアン誕生を見て恍惚に浸っているデビットはまさに歪んだ創造主になったかのようだ。

このアンドロイドの「創造主」にこだわる件は、同じリドリー・スコット監督の作品「ブレード・ランナー」にも通じるものがあり、

なんか最近のリドリー・スコットのマイブームなのか、それとも人生の総まとめにでも入ったのか、ふと、そんなことを感じます。

 

そして、作品中盤に死んだかと思われたデビットが実は生きていて、主人公たちが長期睡眠する宇宙船の中で着実にエイリアン育成を始める、という衝撃のラストシーンを見て、「怖いけど上手い!リドリー・スコット監督健在なり!」と思いましたね。

デビット演じるマイケル・ファスベンダーの一人二役がこのラストシーンで上手く活用されるというアイディアに脱帽!

 

今回のエイリアンは、毎度おなじみのタイプから、PM2.5レベルの粉末タイプ、全身真っ白・顔ナシの人間に近い体型バージョンとシンプルながらいろいろなタイプが登場。

あと、エイリアンシリーズはSFホラーの先駆者でもあるので、ホラー映画のお約束である「態度の悪い奴は必ず最初に死ぬ」「イチャイチャしているカップルは必ず殺される」「一人になったら必ず殺される」を見せてくれて、本当に楽しかった(?)ですね。

 

しかし、エイリアンシリーズのお約束とはいえ、主人公たちのクルーが、当初の移住計画を無視して、通りすがりの星にノープランで立ち寄り、(いくら空気があるとはいえ)宇宙服なしで星を散策したり、タバコポイ捨てしたりするのは、どう考えてもアホでしょ。

この寄り道がなければ、エイリアンに襲われることなんかなかったのに。

でも、それがなきゃ、作品が成立しないわけで、やっぱり人間はどこか不完全で愚かで愛おしい(?)

 

追記1

マイケル・ファスベンダーが一人二役を演じるアンドロイド同士が、縦笛の吹き方を教えるシーンがなんかマヌケっぽくて笑えた。

追記2

アンドロイドの「創造主」などという深遠なテーマを取り扱うのもよいけど、そろそろ「エイリアン2」のようなド派手なエイリアン軍団との

バトルの復活を希望。(または、「エイリアンVSプレデター」シリーズ最新作)
ハリィしろかわ

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