ゆず

エイリアン:コヴェナントのゆずのネタバレレビュー・内容・結末

エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

もう作る側もエイリアンよりもアンドロイドの方が好きなんでしょ?と思ってしまうほどこのシリーズはアンドロイドが魅力的で、本作は前作「プロメテウス」以上にアンドロイドが大活躍していた。
私もエイリアンシリーズのアンドロイドたちは好きなので文句はないのだけど、本作「コヴェナント」はもうアンドロイドが主役なんじゃないかというくらいアンドロイドが物語の最重要人物になっており、そのアンドロイドを演じたマイケル・ファスベンダーの映画という感じがすごくする。

本来は、やはりエイリアン(ゼノモーフ)が最大の見所で、アンドロイドは宇宙航海時代を演出する一つのギミックに過ぎなかったはずなのだが、本作では一気に立場が逆転してしまったと思う。
凶悪なゼノモーフによって一人ずつ死んでいくというお馴染みの展開が、エイリアンシリーズであることを辛うじて意識させるための演出になってしまっている。
なんというか、ゼノモーフに関する出来事は結局は自然現象という感じに思えてしまう。「そりゃあ卵を覗き込んだらフェイスハガーに襲われるよ」「産みつけられた幼体が身体突き破ってバスターするのは当たり前」「ゼノモーフだってそりゃ襲いかかってくるわ。生きるために必死だもん」みたいな。もはや自然の摂理といって過言じゃないところまできている。地面に落ちた飴玉にアリが群がるくらい明白な現象なのだ。

そんな自然現象と化したシリーズのお約束にアンドロイドがどう関わっていくのか、そこが本作の最大の見所だと思う。
立場は人間の味方であっても、パニックを起こさず、常に論理的に思考し、腕をネオモーフに持って行かれても冷静でいられるアンドロイド。人間と見分けのつかない姿をしていながらも、人間と異なる性質を秘めた存在。エイリアンシリーズでこんなにもアンドロイドが登場するのは、彼らの冷徹な視点から作品を語る必要があるからなのかもしれない。
そう、もはや人間のクルーが生きるか死ぬかは問題ではない。アンドロイドの彼が何を思い何を為すのかが問題になってきた。
(もちろん本作のゼノモーフにだって気になる部分はある。それが次作以降でどう結実するかには期待したい)



9/30 エイリアン:コヴェナント 字幕 @109シネマズ富谷
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