紅孔雀

エイリアン:コヴェナントの紅孔雀のレビュー・感想・評価

エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)
3.0
結局、この3部作(本編はその第2作目)は、アンドロイド・ファスベンダーの為の映画のような気がします。後は、完璧な生物=エイリアンへの礼賛に、勇敢な女クルー(S.ウィーバーから本編のK.ウォーターストンにバトンタッチ。苦手な女優さんなのですが「ファンタスティック・ビースト」よりは頑張ってました!)の活躍が絡む、というだけの話になっちゃってますよね。つまり、エイリアンの凶暴性に対し知力を尽くして戦う乗組員達、というSFアクションホラーを期待すると肩透かしを食うわけです。その点での進化は無いと言っていい。
ただリドリー・スコット監督の79歳という歳を考えると、自らの宗教観を極めたい、という意欲には頭が下がるものがあります。題名にある『コヴェナント』は、聖書の「旧約」「新約』に使われる「約束」を意味しているそうですし(©︎町山智弘)、いやが上にも宗教性が高まっています。
ただ彼のもう一つの人気シリーズ「ブレードランナー」(今回は製作総指揮)も宗教的雰囲気を漂わせ始めてるし、最後には両シリーズを合体させるのでは、という悪い予感もしてきました。杞憂で終わればいいですが‥。
PS: SF界を代表する作家にアイザック・アシモフという天才がいました。「ファウンデーション」と「ロボット」という人気シリーズを書き分けていましたが、晩年、2シリーズを合体した『ロボットと帝国』という作品を無理やり書いて、彼を愛する読者を(私も含め)失望させました。スコットさんもまだまだエネルギーがあるようですので、その轍を踏まないように祈りたいと思います。
紅孔雀

紅孔雀