凛太朗

ボーダーラインの凛太朗のレビュー・感想・評価

ボーダーライン(2015年製作の映画)
3.7
国境を超えたら地獄。法律のラインも善悪のラインも超えた常識も通用しない無法地帯の地獄。此処が真実であり、論理感や中途半端な正義感はあまりに無力。

はい。邦題の『ボーダーライン』には色んな意味がありますね。中々に宜しい邦題なんじゃなかろうかと思いますが、主人公の女性FBI捜査官ケイト(エミリー・ブラント)が、主人公なのにあまりに無力。悲劇のヒロインですらないんじゃなかろうかっていう。その美貌すらも意味をなさない。

本作の原題は『Sicario』。
「シカリオとは、エルサレムにおける征服者ローマ人に対する狂信的暗殺者に起源する言葉であり、メキシコでは殺し屋のことを指す。」
ということで、本作の本当の主人公はこの殺し屋ですね。無慈悲な暗殺者。

それにしてもベニチオ・デル・トロが流石である。ヨハン・ヨハンソンによる重苦しく殺伐とした音楽と相まって、デル・トロ扮するアレハンドロの悲哀やら何やらが凄いことになっています。これぞまさにアンチ・ヒーロー!って感じですけど、ドゥニ・ヴィルヌーヴの映画はやっぱ重たい。
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