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グレイテスト・ショーマンのmanamiのレビュー・感想・評価

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
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公開前から「これは観たい観なければ」と楽しみにしてたのに、公開時にどうしてもどうしてもどーーーしても予定が合わず、泣く泣く断念した作品。その後、配信にやって来ても手を出さず。いつか必ず劇場の大スクリーンで観るんだという、願掛けにも近いような気持ちで待ち焦がれてました。そんな憧れの作品、ついに鑑賞!
まずは何をさておいてもとにかく、音楽が奇跡。映画館を出てから焼き鳥やらパフェやらと3軒ハシゴしたけど、その間もずっと心の片隅であの輝くばかりの音楽たちが鳴り響いてた。全てが名曲、歌詞も曲も素晴らしいなんて。ずっとサントラ聴いてるから他の曲を聴く間がとうぶんなさそうよ、ほんともう勘弁してほしいわ。
そんな奇跡の楽曲たちが彩るのは、シンプルに言えばサクセスストーリー。「好きな人が笑顔になってくれたら嬉しい」と願うフィニアス少年が、より多くの人をも楽しませようと奮闘するバーナムへと成長する。その傍らには彼と共に夢を追うチャリティ。
娘がピーナッツと揶揄されたり、街の人々からの抗議にあったり、批評家からこき下ろされたりしながらも、持ち前の機転も利かせて成り上がっていく様がテンポ良く描かれる。
が、夢を叶える過程で手に入れたに過ぎなかったものの方が、やがて本来の願いを押しのけて人生の目標にすり替わってしまうあたりから、暗雲が立ち込めることとなる。その薄暗さに気づいていないのは本人だけ。なぜなら彼は眩いスポットライトしか見ていないから。振り返れば、本当に大切な人や愛してくれている人たちが、寂しそうに立ち尽くしているというのに。
バーナムの人間性やそれに起因する展開に、否定的な感情を抱かないと言えば嘘になる。でも彼自身も嘘をエンターテイメントに昇華させていたし、私だって彼の身勝手さを非難できるほどのたいそうな人間じゃないし。サーカス団員たちの見た目が人と違っているように、偉大なショーマンである彼の心にも人間的な弱さがある。
そういうのも許し合っていけたらいい、お互いに。って、海を見ながら今度は彼を待つ立場でいることを決めたかのように佇んでいたチャリティや、瓦礫の山で笑顔を見せる仲間たちに、教えられる。
清廉潔白な芸術作品ではなく、清濁合わせ飲んだ、この勢いと情熱こそがショービジネスの真髄。作中でバーナムがフィリップやジェームズと議論していた内容にも重なってくる。
もし選択を誤ることがあっても、また正しい道に戻れること。そのときに導いてくれる人こそ、自分が大切にしなければならない存在であること。その人たちを尊敬し愛すること。自分を尊重し愛すること。
まさにそんなメッセージも詰まった「This Is Me」はもっとクライマックスでかかるのかと思ってたのに、かなり早い段階で現れたので面食らったけど、終わってみれば中盤で流れてこその素晴らしさ。あのタイミングであの曲があるから、後半が活きてくるのよね。
ここまで書いた分の、さらに10倍くらいはレビューできそうなほどの興奮なんだけど、きりがなさすぎるのでこのあたりで幕を下ろそう。
最後に。同じく体験してみたいと機会をうかがっていた、109シネマズプレミアム新宿のclass Sシートにての鑑賞でした。劇場内が明るくなるまで誰一人席を立たなかったことまで含めて、最高of最高。まさに至福のとき。私の人生史上、最も短い105分間だったー。これから2ヶ月間の繁忙期なんて軽々乗り越えられそう。だって友情と愛、やりがいある仕事、それだけで人生は十分に素晴らしいものね。

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