雨

グレイテスト・ショーマンの雨のレビュー・感想・評価

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
3.6
これぞミュージカル!
おびただしい数の足鳴り、幾重にも重なる音層、弱者の位置に置かれていたものの高らかな歌声。完璧なオープニングから冒頭数分のショーだけでも、この映画には十分見る価値がある、そのことがわかるだろう。
フリークスのきらびやかなショーは見応え十分、鳥肌が止まらない迫力だ。どの曲もパワフルかつ印象的で物語をぐっと盛り上げる。

しかしこの映画、フリークスを扱っていながら、あくまでメインはヒュー・ジャックマン演じるサーカスの支配人バーナムであり、彼女たちに上手く焦点があたっていないのが勿体無い。彼のアンチに対する小気味いい切り返しやハラハラする前衛的な戦略は、確かに見ていて面白かったのだが、演者であるフリークスたちのことをもっと知りたいという思いがあったのも事実である。THIS IS MEのような、大多数の人と違う彼女たちがその事に誇りを持ち、胸を張って歌うものがもっとたくさんあっても良かったのでは、というのが個人的な感想だ。
怒るのも当然だと感じられるような態度をされながら、特に怒鳴ったり喚いたりすることもなくあっさりとサーカスの復興をバーナム氏に頼むのもいただけない。これではまるで結局はフリークスは自分たちだけでは何もできないと言っているかのようにも感じられる。
そういう意味で少し惜しいと感じたのは私だけだろうか。

ただそれを差し引いても、何でもありのショーの描写は見ていて気持ちがいいくらいにかっこよく、賑やかで、是非劇場で見てほしいと思える作品。何度でもまた見に行きたい。
雨