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クラウンのEikeのレビュー・感想・評価

クラウン(2014年製作の映画)
3.0
元々はネット上にアップロードされたネタ動画にEli Roth氏が「おもしろいじゃないか」と出資してことで映画化された作品だそう。
そうなるとおふざけ調のホラーになりそうなところですが、いざ本編を見ると意外にも非常に「ちゃんとしたホラー映画」になっているのが面白い。

物語は息子の誕生日にたまたま見つけた曰くありげな道化師のコスチュームを身に付けたパパが呪われて悪鬼と化してしまったことから引き起こされる惨劇が中心。
まぁ、この展開自体はいかにも便宜的なお話の印象は拭えません。

が、道化師(日本だとピエロですがアメリカではクラウンですね)のコミカルな面を強調するのではなく、むしろ異形の存在としてグロテスクさにスポットを当てた判断はホラーとしては正解。
物語が進むにつれて呪いを被った主人公が次第に異形のクリーチャーへと変貌して行く様は中々にカッコよい。
呪われた食人鬼が主人公ということでその手のシーンは多々盛り込まれていますが子供たちを犠牲者として描く必要がある都合上、ゴアシーンのトーンそのものは必然的に抑え気味になってます。
E・ロス氏が参画しているという事もあってその手の趣向に期待を寄せすぎるとちょっと物足りなさを感じてしまうかもしれませんね。

それでもB級ホラーとして楽しめる作品となっているのはシリアスなホラー映画の展開としては王道とも言えるある種の「悲劇」としての雰囲気がちゃんと伝わるものになっているからでしょうか。
アメリカ映画にしては珍しく真面目なトーンを崩すようなアプローチを取っていないという事であります。
その結果、正統派のB級ホラー映画としてまずまず楽しめる作品となっている気がします。

本作で銀幕デビューした脚本・監督のJohn Watts氏ですが、2017年にリブートされたトム・ホランドを主役に迎えたスパイダーマンシリーズを任され、見事トリロジーを大ヒットに導びく大役を果たされております。
低予算のB級ホラー映画からブロックバスター映画の担い手へという王道の成功例として今後も注目ですね。
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