Mina

ブルックリンのMinaのレビュー・感想・評価

ブルックリン(2015年製作の映画)
4.5
英米視聴覚研究という名の映画ゼミにいた頃、教授が絶賛していたような記憶を辿り鑑賞。

家族のいるアイルランドから単身でNYへ飛び立つ、そんな始まりからして自分の経験と準えた人は多いのではないかと想像する。もれなく私もその一人だったため、開始10分と経たずに号泣した。一度目は6年前の長期留学、二度目は半年前の転職による引越し。姉からの手紙を抱き締めながら泣くエイリシュの感情が痛いほど伝わってきた。

映画後半の展開には心を乱された。時代や環境によって制約があった・あることは重々承知の上で、自分の居場所や結婚相手の選択は基本的に自己責任だ。選択に際して「選ぶ理由」「選んだ責任」を自分で考え、果たしていくしかない。そんななかエイリシュの場合、選択肢の2つともに理由と責任が存在してしまっていた。「もっと前にこうなっていればよかったのに」このエイリシュの呟きに尽きる。だからこそより強い心で振り切らなくてはならないものがあった。その痛みを映画に表現されたら、それは観てる側も苦しくなる。“Home”という言葉はすごく便利な一方、不確かなものでもあるんだと感じた。
Mina

Mina