”Beggars Banquet" はよく聴いた。自分の勝手なイメージだが、まるでアメリカの片田舎か中東の砂漠にいるかのような、黒人音楽と聖書と反道徳のディープながら乾いた雰囲気がよかった。ストーンズは音楽の完成度を目指すわけではなく、音楽を通して黒人音楽の根底にある反西洋的な生き方を示すバンドなので、ここでの彼らの音楽的に貧しいパフォーマンスなどどうでもよく、彼らが画面のすぐそこにいるということ自体に意味がある。ミックはこの頃がデュオニソス的でカッコいい。ブライアンは存在感があるのに調子が悪そうで悲しい。
四人全員が全力で画面から攻撃を仕掛けてくるザ・フーの結束力は圧倒的。完璧なパフォーマンス。ブルースの本質に沿った "Yer Blues" には、クラプトンのこれ見よがしなテクニックよりもレノンのシンプルなリフのソロがはるかに似合う。マリアンヌ・フェイスフルはシェイクスピアの劇で出てくるような詩的で無邪気な妖精の役割。
1968年に撮影されたロックのエンターテインメントとして、素直に楽しめた。"You Can't Always Get What You Want" の分かりやすい直接的なメッセージが心に響く!