Saki

エール!のSakiのレビュー・感想・評価

エール!(2014年製作の映画)
4.4
フランス映画祭のオープニングムービーにて鑑賞。いち早く観れたからとか、監督とお話できたからっていう贔屓なしで、良い映画だと思いました。
ものすごく感動するんだけど、クスクス笑えるシーンもたくさんある。ひとつの映画の中で色んな感情がミックスします。

私はポーラみたいな家庭環境ではないけれど、大学進学のためにひとり上京するにあたっての葛藤や、家族と離れること、親の気持ち、私自身の気持ちは重ね合わせて見ることができました。
ポーラ以外の家族は耳が聞こえないから歌が聞こえないのに、ポーラは歌がうまいから音大進学を勧められる。この皮肉さと、どうしようもないもどかしさ。彼女の葛藤に共感できて泣けました。

歌を披露するシーンで無音になった瞬間に自分のいる映画館全体が恐ろしいくらい静かになって、周囲の人たちの鼻をすする音だけ聞こえて、ハッと音が聞こえることの重要さに気付かされました。
だからこそ父親がポーラの喉に手を当てて必死に美しい歌声を聞き取ろうとする場面は涙が止まらなかったです!

ラストの試験会場で、ポーラが歌ってる姿にも感動して涙が…
言葉と手話がひとつになったと感じたシーンです。

それから、家族みんなで集まってハグしたり、触れたり。声は聞こえなくても愛は伝えられるね。

フランス映画祭のセレモニー会場には、耳の聞こえない方もいました。
その方々にポーラを演じたルアンヌが「フランスの手話と日本の手話は違うかもしれないけど、どれくらい理解できましたか?」という質問をしました。そしたら、その中のひとりが立ち上がって大きく手話をしました。
その方は「ほとんど理解できました。耳は不自由でも、手話では世界の人とおしゃべりできるのよ」と手話をし、それを知り余計に胸が熱くなりました。

会場中に大きな拍手が響いて、ここでこのような方々と一緒に映画を観れて良かったと思ったのでした
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