津軽系こけし

ソング・オブ・ザ・シー 海のうたの津軽系こけしのレビュー・感想・評価

4.5
物語が、人を作る


【大人こそこれを見るべし】

絵本のようなタッチで描かれる兄妹の成長活劇。ファンタジー色が強く、優しさの沁みた味わいが印象に残ります。

一見子供向けのような風貌の作品ですが、そこには束縛・許容などの奥深いテーマが暗喩されていて、大人こそ楽しめる作品となります。
そうした表面的なファンタジーと、大人向けテーマの融合は、まさしく絵本の構成と似ていて、どこか鮮烈さを思わせます。

【象徴と物語の関係】

この作品のファンタジーはすべからく兄妹の環境のアイコン化であり、だからこそ子供の視点みた遊び溢れる視覚化が施されていました。
ひとつひとつの背景なんかすごく情緒的で、哀愁と遊びが相生しているようでした。兄妹の成長もすごくしっとりしてきて、爆発的なエネルギーはないけれど、脳裏にイメージが残りやすい映画でした。

【最近寒いね的まとめ】

最近急に肌寒くなりましたね。
寒くなると人肌が恋しくなるせいで、昔のいろんなことを思い出して通勤電車でひとり泣いたりするのですが皆様はいかがでしょうか?
この作品もなんだかそういう人肌の恋しさを思わせる作品でしたので、冷たい朝風の良い薬になりました。
津軽系こけし

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