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ソング・オブ・ザ・シー 海のうたのmatchypotterのレビュー・感想・評価

4.1
制作10周年を記念して6/28(金)から【Filmarks リバイバル上映】らしい、ということを知って、その前に我慢しきれなくて観てしまうやつ。

海で暮らすアザラシが陸に上がって人間になる、というアイルランドの神話が元になっている作品。

1人の少年ベンと“最後のアザラシの子”なる妹シアーシャが家に帰るために魔法の世界を旅する物語。

独特なタッチと造形のアニメーション。
直前と曲線をはっきり使い分けるというか、極端というか。

母親がおらず父親が男手一つで育てる2人の子供。
兄は妹ができて嬉しい反面、愛情が妹に注がれるのを見て不貞腐れて妹に意地悪しがちのお年頃。

妹も言葉もあまり話さずぼんやりしてて、兄に意地悪されたり、過保護に育てられたりでなかなか自分のしたいことができない感じ。

しかし、彼女には他の子にはない力と運命があった、、、。

そんな時におばあちゃんがやってきて、海辺しかない島で男手一つで2人の子供を育てるのは難しいとおばあちゃんが住む街の方にほぼほぼ無理やり引き取られてしまう。

父親の元を離れ、母親も恋しく、おばあちゃんもやたらと厳格。
そこで、兄のベン、おばあちゃんの家を飛び出す。後ろからシアーシャ、母の形見のホラ貝片手に付いてくる。

すると怪しい光を見つけたり、3人組の不思議なおじいさんトリオと遭遇する。

ここから兄妹2人で、家に帰るための壮大で魔法に満ち溢れた冒険が始まる。

おじいさんトリオが妹のことを“セルキー”と呼び、何やら特別な存在なのだが、それがなかなか掴めない感じがとてもミステリアス。

彼女がホラ貝吹くとどこからか“魔法の光”が現れて、2人はいよいよその存在を認め始め、その光に導かれていく。

長き道を進みだすうちに、シアーシャが何故だが衰弱していくし、前途多難な兄妹の旅路。

“可愛い子には旅をさせろ”、まさにそんな作品。

不思議な魔法の力に誘われ、途中で妹と逸れ、仙人みたいな妖精に出くわしたり、兄妹が自分たちのルーツや、母親の真相、妹に秘められた真実を知る。

色んなことを目の当たりにしながら、旅をしながら、多くのことを知り、乗り越え、お互いを思う絆が強くなっていく。

いつしか、妹の身を案じ、妹に寄り添う兄になっていく様子がとても暖かい。

この“フクロウの魔女”、“湯ばぁば”っぽいのは気のせいか。

おそらく、この地方に根付いている神話や伝承、御伽噺が織り混ざっている。

そんな壮大なファンタジーの中で2人の兄妹が少しずつ力強く、勇敢に成長していく不思議な物語。

これ自体が星座に紐づく逸話のように神秘的。
観てるうちにこのアニメーションの独特なタッチと表現がとてもハマってくる。

貝の音色も、この歌も。
この歌、『ロードオブザリング』に出てきた歌っぽい。と思うと、何かあの世界観にもちょっと通ずるモノを感じてくる。

最後のシアーシャや家族の決断。とても感動的。

これはリバイバル上映で大きなスクリーンで観たらもっと色々伝わってきそう。

※24年3月、映画オススメブログ、始めました。
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『matchypotterと映画の秘宝』
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作品単発のレビューはここでやっているので、こちらは企画記事メインに挑戦したいと思います。
皆さん、時間がある時にでも見に来てください。
(まだ始めたばかりでお粗末が過ぎるブログですが)
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