ちどりん

みかんの丘のちどりんのレビュー・感想・評価

みかんの丘(2013年製作の映画)
4.1
エストニアとグルジアの合作というのが感慨深い。
グルジアでのアブハジア紛争を描いた作品。

紛争の起こる土地に残るエストニア人のおじいさんが目の前で銃撃戦となって怪我をする敵同士の兵士2人を助ける。
家の中では手を出さないと恩人に誓った兵士が外に出て一緒に食事をとるがお互い睨み合い、言葉で対立する様子に終始緊張感に包まれる。
その中でもおじいさんの毅然とした両者への変わりない接し方や兵士の様子からは違いのない個々の人間として、暗黙のうちにお互いを受け入れているかのようであった。
チェチェンの兵士たちがやってきたときに同志であるにも関わらずアハメドがとった態度にその尊厳が感じられる。
そんな抵抗も虚しく戦争は人々の命を簡単に奪っていく。
とてもやるせない気分である。

民族が入り乱れて宗教の違い思想の違いなど中東やヨーロッパ諸国などの抱える問題は根深く、島国で育つ私たちには到底理解できないものなのだろう。
だがこの映画を見て遠い国ではこんなことが起こっていると知り何かを感じるだけでもこの映画を作った意義があるのだと思う。
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