FOURFINGER

みかんの丘のFOURFINGERのネタバレレビュー・内容・結末

みかんの丘(2013年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

こちらも『もろこし』同様にアブハジアとジョージアの紛争を背景に、戦争の不条理さを訴え、人の憎しみ、信頼、絆などの心情が上手く描かれた作品です。
アブハジアにあるエストニア人集落でみかんの箱を作っているおじいさんは近所に住むみかんが大好きなおじさんと2人で集落で暮らしていました。この集落は危険な地域であるため彼らの家族は皆エストニアへ帰国しており残ったのは2人だけ。みかん大好きなんですよ、このおじさん(以下マルゴス)。おじいさん(以下イヴォ)はみかんの箱が好きだから残っているわけではなさそうですが。この集落でも兵士達は殺し合いをしています。そしてイヴォはまだ息の根がある怪我をした兵士2人を介抱する事になるのですが、なんとこの2人敵同士。
はじめは互いに「ぶっ殺す」なんつって敵対心丸出しだったのですが、イヴォは「俺ん家で殺し合いは許さん!」と兵士に殺し合いをしない事を約束させます。
で、気がつけばイヴォとマルゴスと兵士2人の間に信頼関係が築かれ…。なんて話です。
ほんと、戦争なんて無意味、もうね、めちゃくちゃですよ。後半どんだけ心掻き乱された事か。僕、冗談抜きで「マルゴォォォス!」って言ったからね。そんでもってラスト、イヴォの計らいが、そりゃ、もう、やんごとねぇー!のですよ。地味なんですがね、これは世界中の人が観るべき崇高な作品です。『もろこし』も凄くよかったですけど、こちらの方が台詞がある分わかりやすくメッセージも伝わりやすいのかなぁ?戦争の不条理さは勿論の事、敵、仲間、国、宗教などその人のもつ背景を越え命の尊さをわかりやすく教えてくれる素晴らしい作品だと思いました。