トニー

群盗のトニーのレビュー・感想・評価

群盗(2014年製作の映画)
4.3
群盗さいこー!!!
メジャー配給の嘘くさいCMみたいになってしまったが、これは本当にイケてる映画だと思った。なにが最高ってもう日本時代劇とマカロニウエスタン丸出しなところだ。レオーネやらコルブッチやら黒澤やらタランティーノやらをごった混ぜにして韓国時代劇風に仕上げましたってような作品だ。こういうのを金かけて作れる韓国は本当に羨ましい。
オープニング、犬が人肉食ってるシーンから始まりのっけからニヤニヤが止まらなかった(これはあからさまに用心棒)。智異山(チリサン)チュソルというカリスマ的な盗賊集団がひと仕事終え、荒野をバックにメンバー紹介が始まる。ここなんかはもろにレオーネ、タランティーノを感じさせる。主人公となるトルムチの卑近さ具合もまたいい。変な薬売って子どもから食料をせしめてるところなんかも最低(最高)だ。こういった搾取される民を守る盗賊集団なんて言ったらこれはもう七人の侍がどうしても浮かんでくるわけで、挙げだしたらキリがない。今回は契約書の件で"搾取されるシステム"というものを簡潔に描いている点も好感を持てた。相手側に一旦付いてから鼻を明かす作戦なんかも良い。ちゃんと知恵を使っている。作戦前に、「おれは闘う...おれも闘うぞ...」っていうガーディアンズよろしくダチョウ倶楽部演出をちゃんとやってくれるところもアツい部分だ。ユンの魅力はもう言うまでもない。兵役後だから体がキレキレだった。最終局面、吊るし上げられたロープを台車状のガトリングでぶった切るところなんかは続夕陽のガンマン+子連れ狼の合わせ技だ。ガンマン大連合のガトリングぶっ放しシーンなんかも思い出した。
そして全編通して鳴り響くモリコーネ音楽。そして極端なクローズアップやケレン味溢れるスローモーション。もう本当に映画愛に溢れる傑作だった。
トニー

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